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絵物語の可能性
私は絵物語におけるエンターテイメントとしての可能性に興味をもっています。
絵物語は、独自の表現方法をもつアートであり、
マンガの強み 「視覚表現から、心理を一瞬で伝えられる」と
小説の強み 「微妙な心理表現を直接伝えられる」という両方の利点をうまく組み合わせているからです。
以下に絵物語の得意とする表現はどういうものか?自分なりの考えをまとめました。

物語の目標とは

まず、物語の目標とはなんでしょう?、私なりに独断的に言わせて頂きますと、それは
「どんな感情体験を伝えられるか?」ということだと思います。

その「感情体験」を伝えるのに成功して、はじめて作品のテーマや作者のいいたいことが伝わるのであって「感情体験」の伝達に失敗した物語は、テーマも伝わりません。

たとえば「僕の犬はいい犬だ」というテーマを伝えたいとします。

少年が、原っぱで、フリスビーを何回も投げて、その全てを犬がキャッチします。

最後に、少年が犬を抱えて「フランすごいよ、おまえはいい犬だね」と笑った絵を映します。

それでは観客や読者は「いい犬だ」と感じてくれるでしょうか?犬を飼っていて同じような体験をした人は思ってくれるかもしれません。すでに自分の生活で「感情体験」を持っているからです。

でも多くの人には「いい犬だろう」という情報は伝わりますが、感情は動きません。読者や観客はそのとき「感情体験」を持っていないから頭で理解しても心の底からは納得しないのです。

ではこうしたらどうでしょう?

水が怖い犬、フランがいます。......(この段階ではまだ、単なる情報です)

飼い主の少年は川に落ち、釣りざおを手にして流されて行きます......(ここで読者や観客は注目します)

最初は怖がっていた、フランが川に飛び込むと必死に泳ぎ、流される少年に追いつこうとします。 ......(ここでは読者や観客は、感情体験へ入り込みます。フランがんばれ!となります)

フランは釣り竿を噛んだまま、垂れた木の枝に体をひっかけ少年を流れから止めました。でもフランは水の流れに顔がつかって息ができないのです。
しかしフランは放しません。 ......(観客は感情体験を受け入れ「ああ、どうしよう!」となります)

そこへ大人がきて、フランと少年を引き上げます。......(ほっと一息)
陸へ引き上げられ少年は無事でしたが、フランは息をしていません。......(かわいそうに)
少年が悲しんでいると、フランは水を吐き出して生き返ります。......(めでたし、めでたし)

まあ、内容は下手ですがなんとか「フランはいい犬だ」くらいは伝わるのではないでしょうか?このようになんらかの「感情体験」を経て人間はテーマを受け入れます。

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